■カフカにとっての二重の不条理
- 作者: 岩下明裕,伊藤薫,木山克彦,北村嘉恵,安渓遊地,安渓貴子,望月哲男,井上暁子,野町素紀,福田宏,後藤正憲,越野剛,武田雅哉,渡辺浩平,谷古宇尚,水谷裕佳,山崎幸治,岩下明裕・木山克彦
- 出版社/メーカー: 北海道大学出版会
- 発売日: 2014/02/26
- メディア: 単行本
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岩下明裕・木山克彦編『図説 ユーラシアと日本の国境 ポーダー・ミュージアム』北海道大学出版会
岩下明裕様、木山克彦様、ご恵存賜り、ありがとうございました。
フランツ・カフカ(1883-1924)は、ハプスブルク帝国の末期に、プラハで暮らしていました。
当時の不条理とは、ドイツ語とチェコ語の二つの言語が話されていたプラハで、しだいにナショナリズムの運動が高まって、プラハ全体が、チェコ語中心の都市へと急速に変容していったということです。
ドイツ人とチェコ人の民族紛争が増えます。そうした状況で、ユダヤ人たちは、どちらの言語を話すべきか、選択を迫られました。
1890年において、プラハではユダヤ人の73.8%がドイツ語を話していましたが、10年後の1990年には、45.%にまで減少してしまいます。
ユダヤ人であったカフカは、ドイツ語とチェコ語を話すことができました。
でも、もっぱらドイツ語で小説を書きました。ところがしだいに「反ユダヤ主義」が高まり、ドイツ系ユダヤ人としてのカフカは、二重の排斥に苦しめられたのですね。