■パワーからコンピテンシーへ

拙稿「ポスト近代社会における労働と能力の再編」を書き上げました。いずれ、本田由紀編『労働再審』第一巻、大月書店、に所収予定です。

おもに次のような関心から。

 近代社会からポスト近代社会への移行にともなって、労働の能力観に大きな変化が生じている。単一のパワーで構成される「労働力(labor power)」から、多方向へ発揮できる「労働能力(labor competency)」へ。「パワー」から「コンピテンシー」への転換とともに、現在、労働能力に対する過剰な要請が生まれている。たとえ儲けがでなくても、自己の潜在能力を無限に開発せよ。というのもそれが創造資本の蓄積となって資本主義を駆動するのだから、というわけである。はたしてこの要請は、現代の資本主義にどれほど適っているのだろうか。潜在能力の発現は、経済とは無関係に求められる教育的な理想なのだろうか。

 パワーからコンピテンシーへの理念的な移行を理論化しています。それから、いろいろと展開して、最後は、アンダーグラウンドの意義について論じています。