■新訳で蘇る初期マルクス
- 作者: マルクス,長谷川宏
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2010/06/10
- メディア: 文庫
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・長谷川宏様、ご恵存賜りありがとうございました。
・大学生の頃、岩波文庫版で、必死に読んだことを思い出します。「疎外」にはいろいろな特徴があって、これは、どの意味での「疎外」なのかという解釈を、いちいち考えました。当時の私にとって、本書は難解でしたけれども、本書を読んで人生観が変わりました。とにかく興奮状態で読みました。
・とくに20代の方へ、おすすめしたいです。マルクスが20代のとき、どんな思考を働かせていたのか、興味深いと思いませんか。この歳で、この思考力。格闘するに値する本です。「古典」にふさわしい理由があります。
・今回の新訳は、とても読みやすく、思考をかきたてます。長谷川宏さんの訳では、ヘーゲル『精神現象学』もすばらしいです。概念の持つ意味を、一つの文章として自由に躍動的に表現していますから、一つ一つの言葉をベグライフェン(観念的に扮戯)する作業が、動的なイメージをもって現われてきます。
・翻訳家とは、いわば、クラシック音楽の演奏家のようなもの。自由な解釈によって、作品の本質に至ることができるのです。ただたんに、硬直した直訳をすればよいという時代は過ぎ去りました。自由に、しかし本質に迫るような翻訳=演奏の方法を、翻訳の至芸から学びたい。