■この奇怪な書こそ、経済哲学という分野の自由度だ
- 作者: アリオクラマー,Arjo Klamer,後藤和子,中谷武雄
- 出版社/メーカー: 日本経済評論社
- 発売日: 2010/07/01
- メディア: 単行本
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アリオ・クラマー『経済学は会話である』後藤和子・中谷武雄監訳、日本経済評論社、2010年
・後藤和子様、中谷武雄様、ご恵存賜りありがとうございました。
・クラマーは現代の鬼才ですね! クラマーの本は、前から読んでみたいと思っていたのですが、翻訳で読めるようになるとは、とてもうれしいです。これこそ、経済哲学の醍醐味ですね、マニアというか。とにかくこの分野の研究は、自由度がかなり大きくて、オリジナルな議論を立てやすいといえます。いったいどんな方向に、哲学的な思考が向かうのか、その人の個性に依存しているところがあって、クラマーはとても自由な人のようです。
・70年代によく読まれた社会学の理論書として、シュッツを継承するバーガーとルックマンの日常構成学派の議論がありました。クラマーはそのような方向で経済学を日常的な意味構成のなかに再構成するという、とても野心的な仕事をしているのだと思います。専門化された経済学になぜ私たちは馴染めないのか、また経済学者本人も、なぜ一般人にその専門性がもつ特殊性をうまく説明できないのか。大切なことは会話に入る、会話に馴染むことなのですが、そのためのいわば「リハビリテーション」をひとつの哲学にしてしまうわけですからね。