■不可能な革命に身を乗り出す勇気
- 作者: 大澤真幸
- 出版社/メーカー: 朝日出版社
- 発売日: 2011/05/18
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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大澤真幸様、ご恵存賜り、ありがとうございました。
かなり興奮して読みました。重要なことが、ストレートに、しかもいろいろなネタの仕込みとともに語られています。思想的に、重要な本であると思います。
特に、ルター、カルヴァン、カトリックという三つの宗派の流れが、現在の福祉国家体制のパフォーマンスに、どのような影響を与えているのか、という分析です。北欧型の「普遍的な包摂」という理念について、思想的にあらためて検討すべきテーマを与えられました。とにもかくにも、シグルン・カールの研究を受けて、大澤先生が思想的にルター派の意義を解釈している点。先生の解釈から、さらにどこまで進むことができるのか。大いに思考をかきたてられました。
もう一つは、革命の可能性についてです。現代において、革命の精神、あるいは革命の企ては、どのような歴史的意義を持ちうるのかについて、本書の記述は、可能な最善の論理を提示しているのではないか、と思いました。過去を書き換えることで、過去を救済する、という関心ですね。過去に救済されなかった魂はたくさんある。これらを誰が救済できるのかと言えば、それは真の革命家によってである、ということになる。まったく別の第三者の審級という観点から、いまのときを叩き出すように、歴史を解釈していく。そういう企てこそ、現代において可能な革命の本領ではないか、と納得しました。
本書は、連続講義の第一弾ということですね。第二弾を、楽しみにしております。