■GNP指標の問題点
- 作者: 根井雅弘
- 出版社/メーカー: ミネルヴァ書房
- 発売日: 2011/03/01
- メディア: 単行本
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根井雅弘編『現代経済思想 サミュエルソンからクルーグマンまで』ミネルヴァ書房
根井雅弘様、藤田菜々子様、神野照敏様、ご恵存賜り、ありがとうございました。
現代の経済思想の諸学説が、このようなテキストのかたちで広く読まれることは、とても意義深いことだと思います。冒険的な企画でありますが、これは重要な一歩であり、経済学史研究者たちは、こうしたアプローチの仕方で、現代的な、思想そのものをストレートに扱う研究へと、誘われるでしょう。
反対に言えば、現代の経済学者たちが歴史に名を残すとすれば、それは思想的な観点をもって研究に当たっている場合ではないか、と思いました。この点で、ガルブレイスのような経済学者は、今後、広く研究されるのではないでしょうか。
都留重人の研究業績として、GNP指標をさまざまな角度から検討し、また批判した点が、やはり重要だと思いました。生活の必要経費が高くなる、取引契約が複雑になりコストが上がる、無駄が制度化される、資源が枯渇したり環境が汚染されるコストを考慮していない、長期的な資源配分に無駄が生じる点を考慮していない、といった点です。こうした指摘はいずれも、経済思想の探究に向かう際の、導入的な議論になりますよね。この他にも、いろいろと勉強させていただきました。ありがとうございました。