■他人のために生きる人の方が幸せ
- 作者: 鈴木謙介
- 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
- 発売日: 2011/11/16
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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鈴木謙介著『SQ “かかわり”の知能指数』ディスカヴァー・トゥエンティワン
鈴木謙介様、ご恵存賜り、ありがとうございました。
面白く読ませていただきました!
本書では、社会的なかかわりの知能指数として、「他者への貢献」「広範囲で協力」「モノより心」「次世代志向」という、四つのポイントがあると指摘されています。考えてみますと、この四つのポイントは、すぐれた教師の生き方のようです。もちろん、学校以外にも、コミュニティというのは、こうした要素を各人から引き出してこそ、幸せな関係を実現できるのでしょう。
SQ度チェックということで、図1-8, 1-9をみますと、「かかわりの知能指数」は、年収と近所づきあいのよさ、に依存していることがわかります。やはり年収15,000万円以上の人の方が、社交的であり、幸せなのですね。逆説的にみえるかもしれませんが、とにかく年収とSQは比例していることが示されています。利己主義と利他主義は、矛盾せずに相互に強化しあう関係にある、といえるでしょうか。
図2-4, 2-5をみると、2003年から2008年にかけて、自分が住んでいる地域に永住したいという人の割合が増えていますね。若者たちが地元志向になっている。なぜ地元に住みたいのかと言えば、友達がいるから、というのがその理由のようです。
この他、家電量販店とアウトレットモールというものが、家族にとってテーマパーク的な機能をそれぞれ別の仕方で果たしていることなど、本書の論述にはさまざまな社会学的分析が効いていて、とても刺激を受けました。
本書の最後に、SQの六タイプというものが載っています。例えば「5年連続町内会長」とか、「ガチで正義の味方」とか、「ちょいエコセレブ」とか、いろいろ面白いキャラクターがでてきます。これをみると、SQの低い「半径五メートル星人」は嫌ですが、反対に、SQの高い人のキャラクターも、別にそれほど理想ではないなあ、という感じがします。こういうアイロニーの効いたイラストがあると、SQをちょっと突き放してみるための視点にもなりますね。
でも基本的には、「他人のために何かしたい」とか「社会に貢献したい」とか「子供や孫のために何かしたい」と考える人の方が、幸福になれるという、ストレートなメッセージが響いてきました。