■仮面ライダーの進化が面白い

リトル・ピープルの時代

リトル・ピープルの時代

宇野常寛著『リトル・ピープルの時代』幻冬舎

宇野常寛様、ご恵存賜り、ありがとうございました。

 とても面白かったです。村上春樹は山車、というか前座、という感じですね。
 やっぱり仮面ライダーの番組企画というものが、現代社会を反映するためにいろいろと練られていて、しかし視聴率が落ちてしまうと、仮面ライダーは新しい企画でもって、もっとグロテスクに現代社会を描き出そうとするという点が面白いですね。正義が複数ある場合には、それぞれの正義のあいだでバトルすることになる。現代社会は、そういう多元社会であるという認識ですよね。イラク戦争はまさにそういうバトルでした。いま3.11を受けて、どんな仮面ライダーの企画が可能なのか。仮面ライダーに目が離せません。
 私たちは「いまここ」に留まったままで、世界を掘り下げ、どこまでも潜り、多重化して拡張していくことができる、というのが本書の認識であり、また時代を謳歌するテーゼであります。実はこの感覚は、私の次著『ロスト近代』のテーマと大きく重なっています。ロスト近代の駆動因とはなにか。それは潜在的可能性の増大です。その感覚について、私も別の角度から論じるつもりです。
 すでに『東洋経済』で書評させていただきました。いずれこちらもアップしますね。