■小学校の現場を伝える記録

平田満『僕の教師修行』教育工房ブックレット16

平田満様、ご恵存賜り、ありがとうございました。

 平田先生は、杉並区立高井戸小学校教員として勤務されています。本書は、氏の教育現場からの報告の集大成です。習熟度別指導は、教育現場の実態に則していえば、あまり成果を挙げていない、とのことですが、現場でのいろいろな努力、あるいは教育指針に対する提言が、本書でなされています。
 本書の大半は、一年生から六年生までの、授業の仕方についての提案や記録なのですが、最後に、全体をまとめるかたちで、教育論が展開されています。
 例えば、画一的な教育からの脱却を図るために、習熟度別授業が提案されてきたわけですが、しかしその実態は、少人数で、それぞれの能力に応じた、画一的な授業を行うということになってしまっている。これは矛盾であって、むしろ、いろいろな習熟度の生徒たちが、画一的ではない一つの授業を受けることのほうが、多様性があっていいのではないか、ということですね。その論理、分かります。この他、教育理念をめぐって、いろいろな提案や批判が提起されています。刺激的に読ませていただきました。