■ 時事テーマから思想史へ

《日本の思想》講義――ネット時代に、丸山眞男を熟読する

《日本の思想》講義――ネット時代に、丸山眞男を熟読する

仲正昌樹『《日本の思想》講義 ネット時代に、丸山眞男を熟読する』作品社

仲正昌樹様、ご恵存賜り、ありがとうございました。

 とても内容豊かな、啓発的な講義だと思います。
 2010年に日本でサンデルがブームになって、日本版の白熱教室と称して、いろいろな試みがなされてきました。しかし、おっしゃるように、そうした白熱教室を通じて、「正義」や「共通善」や「共和主義」について、なにか理解が深まった、という話はほとんど聞きませんね。まして日本発の、新しい規範理論が、そこから展開されたという話も、ほとんど聞きません。
 ご指摘のように、時事的なテーマというのは、深まる前に風化してしまい、人々の関心は別のところに移ってしまいます。それで、いつも似たような話が繰り返される。そうだとすれば、もっと腰を据えて、思想史を研究する意味がある、ということなのでしょう。