■ 綿の収穫をまつトラック

コットンをめぐる世界の旅――綿と人類の暖かな関係、冷酷なグローバル経済

コットンをめぐる世界の旅――綿と人類の暖かな関係、冷酷なグローバル経済

エリック・オルセナ『コットンをめぐる世界の旅』吉田恒雄訳、作品社

吉田恒雄様、ご恵存賜り、ありがとうございました。

 世界中を旅しながら書かれた本です。
 例えばアフリカのマリで、綿花あるいは種子の荷下ろしを待って、約600台のトラックが、数週間も待機している、という話が出てきます。綿の収穫期に、そのような光景が見られるのですね。ただトラックのオーナーは、トラックの運転手ではありません。オーナーは別のところにいる。また、トラックで常時待機しているのは、運転手ではありません。まだ運転免許を取得していない、運転手の見習いです。見習いの人たちは、運転免許を取得するために、稼がなければなりません。でも見習いが得るのは、賃金ではなく、ほんのわずかの食事とお小遣いのみ。そんな過酷な状況で働いている。
 といっても、待機している間に、トラックにいろいろと装飾する。素朴派の絵の傑作が、そこから生まれるというわけですね。