■知識人を厳しく問う

東京大学学問論

東京大学学問論

佐々木力『東京大学学問論』作品社

佐々木力様、折原浩様、ご恵存賜り、ありがとうございました。

 本書のあとがきを折原浩先生が書かれています。
 日本の知識人は、戦争が終わった1945年8月15日以降も、獄中にいる三木清を救出しようとはしませんでした。ただ傍観するのみであり、三木清は結局、獄死してしまいます。軍国主義の下で、政府を批判するようなことは何も言わない。そのような習性を、日本の知識人は身につけてしまったようです。
 折原先生は、知識人がこの出発点をどこまで乗り越えているのか、と厳しく問います。詳しくは本書に譲りますが、佐々木先生の処分問題に対して、疑わしきを罰するという大学側の対応を問いただし、異議をとなえています。
 第四章「原子力技術の国策的担い手としての東京大学」は、御用学者を批判する重要な議論だと思いました。