■明治学院大学の礎


NHKカルチャーラジオ 歴史再発見 ヘボンさんと日本の開化 (NHKシリーズ)

NHKカルチャーラジオ 歴史再発見 ヘボンさんと日本の開化 (NHKシリーズ)

大西晴樹『ヘボンさんと日本の開化』NHK出版

大西晴樹様、ご恵存賜り、ありがとうございました。

 本書はNHKカルチャーラジオ、ラジオ第二放送のテキストです。
 ヘボン式ローマ字という言葉で有名なヘボンさんは、アメリカから医師として、また宣教師として日本に来ました。1815年生まれ。1831年に、16歳でプリンストン大学の三年次に編入。その三年後に、医学を学びながら宣教師になる決意をします。19歳のときですね。
 最初に中国のアモンに伝道に来るのですが、家族が病気に侵され2年で断念。1859年に息子をアメリカに残して、日本に来ます。
 偉業は、まだ和英辞典がないときに、『和英語林集成』を刊行したこと。1867年。いまから150年前のことですね。1880年には新約聖書、1887年には旧約聖書の共同訳をそれぞれ刊行しています。1889年から二年間、明治学院の総理に就任し、1892年に帰国。ニュージャージーで隠居生活に入りました。
 興味深いのは、ウェーバーの資本主義との接点。ヘボンの勤勉さは、信仰によるものであり、グリフィスによれば、ヘボンは「33年間、毎朝5時から夜の10時まで、蔦(つた)が壁を這い上がって伸びていくにも似た粘り強さで与えられた仕事に明け暮れた」そうです。
 こうした精神を礎として、現在の明治学院大学があるというのは、すばらしいですね。