■権力は自己肥大化する
よい社会の探求―労働・自己・相互性 (選書“風のビブリオ”)
- 作者: 田中拓道
- 出版社/メーカー: 風行社
- 発売日: 2014/09/01
- メディア: 単行本
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田中拓道『よい社会の探求』風行社
田中拓道様、ご恵存賜り、ありがとうございました。
アリストテレスからリクールまでの学説をコンパクトにまとめて紹介しています。
リクールによれば、ウェーバーの思想に読み取るべきは、権力がいったん成立すると、自己肥大化を遂げていく、ということです。権力は、過剰な正統化を要求します。ある特定のイデオロギーによって、単に人々が議論して合意するというレベルを超えて、イデオロギーの表象やシンボルを利用するようになります。権力もまた、シンボリックな表象によって自己を正統化するかぎりにおいて、剰余価値を利用している、というわけですね。政治の次元においても、私たちは過剰に価値を生み出してしまうのでしょう。
結局、そのような政治の正統性を過剰でないものにすることはできず、権力に対抗する側も、あるユートピアの表象によって、価値の過剰を別のものに向けなおすことでしか、政治を批判できないのかもしれません。