■政府に反対することは公益を損なうのか


科学・技術と社会倫理: その統合的思考を探る

科学・技術と社会倫理: その統合的思考を探る

山脇直司編『科学・技術と社会倫理』東京大学出版会

山脇直司様、ご恵存賜りありがとうございました。

 何が公益であるかは、政府が決める事柄であって、政府に反対することは、それ自体が公益に反する!
 こんなことを官僚たちは本当に主張するのですね。
 故高木仁三郎の文章の引用を、以下に再掲します。
 「国が原発推進ということを言っている時に、それに賛成しない、原発推進と言わないのはけしからん、そのような批判勢力には公益性はない、(科学技術庁は)こういう論理なのです。――私などよりも三〇歳も若い役人に、これが公益性だというものの国家の定義なんだ、お前はそれに反しているんだと言われた時には、本当に情けない気がしました。――人々が求めるものは何かというところから出発するのではなく、国家の法律の中にどう定義されているか、それを守る機関はどういう組織であるかから出発ツして、その組織に従うことが公益であるみたいな、頭からの公益論ができてしまっている。これでは文化も教育もあったものではありません。」『原発事故はなぜくりかえすのか』岩波書店、2000年