■貧農の無頼性が革命の原動力

マックス・ヴェーバーとアジア―比較歴史社会学序説

マックス・ヴェーバーとアジア―比較歴史社会学序説

折原浩著『マックス・ヴェーバーとアジア』平凡社、2010年

・折原浩先生、ご恵存賜り、ありがとうございました。

・中国における共産主義革命は、ロシアでの革命とは、大きく異なるものだった。ロシアでは、富裕な農民ブルジョア層に対して「憎悪の感情」を抱く農民たちが、20世紀初頭の革命を担っていた。ところが中国の農村では、「光棍[無頼の顔役]」として組織化された貧民たちが、その土地の実直な農民たちに対抗するのではなく、むしろ農村を抜け出て、都市を包囲するに至る。この毛沢東型の中国革命は、つまり、無頼の農村貧民がもつ爆発的な駆動力によって、可能になったといえるだろう。

ウェーバーの分析は、毛沢東型の革命を予知していた、と本書は指摘している。(133頁)

・中国共産主義のこの駆動因は、コミュニティに取り込まれない、排除された人びとが、既存のコミュニティを超える、大きなコミュニティを展望することから生まれている。これは、資本家と労働者のあいだの階級闘争ではない。排除された無頼の人間たちの、全能感のエネルギーが、革命を導いている、と考えられる。