■文化は、過剰な営みなのです

月夜にランタン

月夜にランタン

斉藤美奈子『月夜にランタン』筑摩書房、2010年

斎藤美奈子様、ご恵存賜りありがとうございました。

・面白いです。この五年間の世相を、これほど濃密に分析しながら、しかも明るく楽しいのですから。月夜にランタンとは、「余計なことをする」とか「無駄に明るい」という意味ですが、そういう精神で社会を観察することは、本当に愉快ですね!

・安倍政権の崩壊と自民党の迷走、地球温暖化格差社会論、ロスジェネ、シングル女性の老後、などなど、この五年間でテーマとなっているのは、どれも深刻で暗いことばかり。最大のテーマは、やはり格差社会論でしょう。でもそうした世相を笑い飛ばすことができるのは、それをめぐって書かれた本が、どうも胡散臭いところが多々あるから。それをネタに、読者の健全な嗅覚を働かせることができるからでしょう。

・とくに「年収別」に編集された主婦雑誌の費用対効果、はとても面白かったです。