■国家は社会学的に定義されなければならない

マックス・ウェーバーの社会学―『経済と社会』から読み解く

マックス・ウェーバーの社会学―『経済と社会』から読み解く

牧野雅彦著『マックス・ウェーバー社会学ミネルヴァ書房

牧野雅彦様、ご恵存賜り、ありがとうございました。

 本書は、ウェーバーの大著『経済と社会』を、分かりやすく解説した入門書です。主として、牧野先生の著書『国家学の再建』をベースにして、重要な事柄がコンパクトにまとめられ、展開されています。

 最初の三つの章を読むと、いわゆる「国家」論というものが、ウェーバーにおいて、それまでの政治学や法学から、社会学に移行せざるをえなかったということが、よく分かりました。社会学は、既存の政治学や法学では、「ああでもない、こうでもない」といった議論を、実に明快に、理論化してしまう。しかも、国家の本質を、あるいは正統性の本質を、よく捉えるわけです。

 当時のウェーバーは、ドイツの君主政の問題と、それを論じる状況を踏まえている。ハラーからはじまり、トライチュケやケルゼンに至る国家論の流れは、本書において、とても分かりやすくまとまっています。ウェーバーの議論が出てくる知性史的な背景について、多くを学びました。