■出版は闘いである

出版文化再生: あらためて本の力を考える

出版文化再生: あらためて本の力を考える

西谷能英著『出版文化再生 あらためて本の力を考える』未来社

西谷能英様、ご恵存賜り、ありがとうございました。

 約15年間、雑誌『未来』に掲載された西谷社長のエッセイ集です。出版文化の現状をめぐって、西谷社長は、いつも厳しい態度を示されてきました。その対峙の仕方に、いつも敬服いたしております。出版文化を守る、あるいは担うという、活動へのコミットメントが伝わってきます。
 これまでも、雑誌『未来』を通じて拝読してきましたが、文章に入魂するというその迫力から、私は多くを学んでおります。
 この15年間で、出版をめぐる環境は大きく変化しました。インターネット、オンディマンド方式、トーク・セッション、新しい流通のかたち、等々。そのなかでも未来社独自の「テキスト編集マニュアル」の提示によって、本の制作費を格段に安く抑えることができるようになったというのは、ある意味で革命的な取り組みではなかったかと思います。
 テキストの形式を出版社の側から提示するというのは、著者の側も編集者としての能力を部分的に身につけることを意味します。それは重要な技術であるでしょう。
 この他、沖縄問題への取り組みや、折原ヴェーバー論争本の刊行など、改めて、西谷社長の取り組みの意義を発見いたしました。「出版とは闘争である」という、帯に書かれた言葉が、まさに当てはまる本です。