■障害と社会の研究拠点が、よく分かる
生存学 vol.3―生きて存るを学ぶ ロングインタビュー立岩真也×天田城介 特集:精神
- 作者: 立命館大学生存学研究センター
- 出版社/メーカー: 生活書院
- 発売日: 2011/04/01
- メディア: 単行本
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立命館大学生存学研究センター編『生存学』vol.3
立岩真也様、ご恵存賜り、ありがとうございました。
ロング・インタビュー「生存の技法/生存学の技法」立岩真也×天田城介を、読みました。長いですが冗長なところはなく、現在の研究動向について、さまざまな研究論文に触れつつ、この分野の状況が一通り語られています。
研究者として、どのようなアプローチで研究すべきなのか。あるいは研究史を踏まえる際に、左派がどうなったのか。この分野に入っていくための入門的な示唆がたくさんあります。
地方分権の問題で、結局、財政難だから、財源を地方に移譲して、地方ごとに「保険」「互助」というものを考えてもらう。現在の動きは、左派の福祉国家論者たちを含めて、そのような方向に向かっているわけですが、それに対して批判的なスタンスが語られています。うまくいく地方と、そうではない地方が生まれる。財源の豊かな地方が「分権」を求めるのは、権力関心からして当然のことで、では財源の乏しい地方はどうなるのか。
地方分権化する場合は、財源の豊かなところと貧しいところを組み合わせて一つの「地方」にするような、そういう工夫がないと、人々は、財源の豊かな地域に移住して、福祉の恩恵を受けようとするかもしれません。そうなると結局、私たちの生活の福祉水準は、下がるかもしれません。