■「日本は既に終わっていた!」のか
- 作者: 大塚英志,宮台真司
- 出版社/メーカー: 太田出版
- 発売日: 2011/12/14
- メディア: 単行本
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大塚英志様、宮台真司様、ご恵存賜り、ありがとうございました。
「日本は既に終わっていた!」というこの紹介文のフレーズがいいですね。
3.11後の日本社会の問題を考えるうえで参考になりました。
これまで、電力会社は「総括原価方式」によって、莫大な利益を上げてきました。けれどもその反面、電力会社の利益は、地方の放送局や新聞に還元されてきたという経緯があります。地方のメディアの大株主は、電力会社。地方の交響楽団なども、電力会社によって支えられてきた、という面があります。
つまりこれまで、電力会社は、市場競争にさらされない反面、地方の文化興隆のために貢献してきたのであり、いわば、市場原理主義に抗する「地域に埋め込まれた文化経済社会」を象徴する存在であったわけです。これってつまり、コミュニタリアンなどの市場社会批判者たちだったら、電力会社を肯定するだろう、ということになると思うのですが。
むろん、いま求められているのは、電力会社を徹底的な市場競争圧力にさらして、電力の自由化と発送電分離のもとで、どこまで効率的に電力を供給できるか、ということです。
これはつまり、新自由主義の企てそのものなのですが、3.11以降、脱原発のためにこの新自由主義イデオロギーを批判する人たちは、あまりいません。不思議です。