■ 原発縮小のシナリオ

橘川武郎『電力改革』講談社新書

橘川武郎様、岡部ひとみ様、ご恵存賜り、ありがとうございました。

 原発54基を縮小するシナリオについて、本書の表1-4にしたがって考えてみます。
 まず、福島第一原発にある6基の廃止です。これはほぼ確実でしょう。
 次に、福島第二原発にある4基の廃止です。
 第三に考えられるのは、浜岡原発の廃止です。すでに1,2号機は廃炉が決まっていますが、3,4,5号機を廃炉にする方向で考えることができるでしょう。
 第四に、これは他の分類と重なるところも多いのですが、プルサーマル発電の原発の廃止です。福島第一の三号機、高浜の三号機、伊形の三号機、玄海の三号機です。
 第五に、40年以上稼働している原発の廃止です。福島第一の三号機を含めて、三基あります。
 最後に、30年以上40年未満の稼働をしている原発です。福島第一の2-6号機を含めて、16基あります。
そのほかを含めると、合計で54基になります。
 重複する部分を考慮した上で、例えば、福島の原発すべてと、30年以上稼働している原発を廃止していくと、23基を廃炉にすることになるでしょう。約半分を廃止することになりますね。
 問題は、まだ30年の稼働に満たない原発です。けれども、今後、10年単位で考えると、原発はやはり「老朽化」するわけであり、そうした理由から、廃炉にすることができます。政治的に争われるのは、2030年代の後半の段階で、はたして原発をゼロにするのかどうか、という点でしょう。
 廃炉にする費用と、廃炉にしないが稼働もしない場合の原発の資産評価を天秤にかけると、どうなるのか。そういう問題を含めて、リアルに考えなければなりません。