■ ユニテリアニズムから新しい自由主義へ

ヴィクトリア時代の思潮とJ.S.ミル―文芸・宗教・倫理・経済

ヴィクトリア時代の思潮とJ.S.ミル―文芸・宗教・倫理・経済

有江大介編『ヴィクトリア時代の思潮とJ.S.ミル』三和書房

有江大介様、ご恵存賜り、ありがとうございました。

 イギリスのヴィクトリア時代は、新保守主義にとってのいわば故郷とされますが、その中心人物の一人がJ.S.ミルで、ミルと関係する様々な人物が、本書で紹介されています。ジョン・ロックの『キリスト教の合理性』を継承したプリーストリーはその一人で、自然観と聖書教育の関係をどのように考えるか、ということがテーマになっています。また、プリーストリーに影響をうけた、ハリエット・マーティノゥと、メアリー・カーペンターの紹介も、興味深かったです。舩木惠子論文を参照。
 イギリスのユニテリアニズムが、19世紀末に、ジェームズ・マーティノゥによって形而上学的な倫理学として整理され、それがニューリベラリズム(新しい自由主義)の思想の背景となったことは興味深いです。アメリカではこの思想がプラグマティズムに継承されていくのですね。