■ お金を理解した上で、お金と無縁の世界を生きる
- 作者: 山口揚平
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2013/03/08
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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山口揚平『なぜゴッホは貧乏で、ピカソは金持ちだったのか?』ダイヤモンド社
山口揚平様、ご恵存賜り、ありがとうございました。
ピカソは、お金のことをよく理解していました。しかしそれでも、「お金のない世界」を生きることができました。「お金のない世界」とは、「人びとが自由に自己の創造を楽しんでいる状態」のこと(本書、201頁)です。お金をうまく得ながらも、お金とは無縁の「創造の世界」を生きることが、理想の人生なのでしょう。
例えばピカソは、自分の絵を売るときには、なじみの画商を数十人も呼んで展覧会を開き、作品を描いた背景や意図を、細かく説明したそうです。すると画商のあいだで「競争原理」が働き、作品の値段は十分に上がりました。
ピカソはまた、少額の買い物の場合でも小切手を使っていたそうですが、それはなぜかというと、ピカソは有名なので、おそらくピカソ直筆のサインが入った小切手をもらった人は、それを換金しないで部屋に飾るだろう、だから自分は最終的には支払いをしなくて済むだろう、とピカソは考えることができたからです。
ピカソは、シャトー・ムートン・ロートシルトという、高級ワインのボトルのラベルをデザインしています。ピカソはそのときの対価(デザイン料)を、ワインでもらうことにしました。ピカソの描いたラベルの評判が高まれば、ワインは高く売れます。するとピカソは、対価としてもらったワインを、ある程度保存したのちに、高く売ることもできます。これは、ワインを売る会社にとっても、よいことですね。ピカソとワイン会社は、信用でもって、互いに利益になるような契約を結んだのでした。