■ 日本人は働かなくなった。


The Transformation of Japanese Employment Relations: Reform without Labor (English Edition)

The Transformation of Japanese Employment Relations: Reform without Labor (English Edition)

Jun Imai, The Transformation of Japanese Employment Relations, Palgrave Macmillan, 2011

 今井順様、ご恵存賜り、ありがとうございました。

 戦後日本の雇用関係について、詳細に分析されています。
 The Diffusion Index by Occupation の推移(73頁)をみると、どんな職業に対する需要が、その供給よりも多いのか、1996年以降の趨勢が分かります。波はありますが、managerやclerk workerは、労働需要が恒常的に少ないのですね。これに対して、unskilled workerの需給バランスは、大きく振れています。需要がかなり多いときもあれば、かなり少ないときもある。professional and technical とかsalesは、恒常的に需要が多いですね。
 ところで日本の労働者の総労働時間は、1960年以降、減り続けています。いろいろな統計方法がありますが、だいたい20%弱も減っているんですね。1980年代の後半から90年代の前半にかけて、労働時間がかなり減っている。この時期は、生産による経済成長から、欲望消費(内需拡大)による経済成長へと、経済全体の成長戦略が変化していったときですね。労働時間を減らして、経済をドライブする時期です。
 私たちが「高度経済成長期」をもう一度経験したいとすれば、「あと二割多く働け」ということになるのでしょうか。