■集団内不平等と集団間不平等


佐藤嘉倫、木村敏明編『不平等生成メカニズムの解明』ミネルヴァ書房

瀧川裕貴様、ご恵存賜り、ありがとうございました。

 1995年から2005年にかけて、集団内の不平等よりも、集団間の不平等が増しています。つまり、企業の規模によって、賃金に差がつくようになっています。
 中規模企業の安定性(不平等が少ないこと)は増しているようにみえますが、平均賃金は下がっています。
 学歴は、人的資本を反映するとしても、実質的にみると、「高卒」と「大卒・大学院卒」のあいだには、「集団内不平等」の差はありません。ただし、2005年になると、これまで最も安定していた大卒・大学院卒の集団内不平等は、増大しました。
 私たちは、集団内不平等と集団間不平等の、どちらにいっそう「不公平」を感じるでしょうか。それの感覚によって、「公正としての平等」のための政策も、異なってくるのでしょう。