■平和と繁栄という意味での戦後は終わった

白井聡『永続敗戦論』太田出版

白井聡様、ご恵存賜り、ありがとうございました。

 大変刺激を受けました。内なる情熱が文章をぐいぐいと牽引しています。
 戦後という言葉は、「戦争」と対比される「平和と繁栄」の意味合いをもっていますね。そのような意味での「戦後」は終わったのでしょう。私たちの時代は、露骨に「戦争」を語るようになり、また制度的にも戦争への態度を明確にしつつあります。
 例えば、2012年12月、原子力規制委員会設置法の第一条の文面に合わせるために、原子力基本法の第二条の文面で、「[原子力の安全確保については]・・・我が国の安全保障に資することを目的として、行うものとする」とあります。
 原子力の利用が、安全保障上の問題に資するように規制する、というのでは、私たちは原発を、いつまでも使い続けなければならない、ということになるでしょう。
 もちろん、原子力発電は、日本が核兵器を作る技術水準を確保するという、安全保障上の理由から推進されたことは、想像に難くありません。しかしこれまで、政府は、そのような理由を、表立って明言してきたわけではありません。
ところが、上の第二条の文面は、まったくあからさまに、いわば「本音モード」で、戦後理想視された意味での「平和」を否定しているのです。そうした戦争への態度が、最近、ストレートに語られるようになっています。