■イギリス発のヨーロッパ構想
- 作者: 遠藤乾
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2013/04/24
- メディア: 単行本
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遠藤乾様、ご恵存賜り、ありがとうございました。
1988年に、サッチャーは、イギリス外務省が仕立てた演説のなかで、自らのヨーロッパ構想を語ります。それはいわば、分権的な統治の構想であり、フランスその他の国が提案する、垂直的な統合の構想と対立するものでした。
イギリスの外務省は、この演説でのビジョンによって、イギリスが東欧諸国をECに取り込むための理念を提供できる、と考えました。ところが実際には、その意図は理解されず、EC統合のあり方そのものに批判を投げかけるものとみなされました。そもそもサッチャーがそのような懐疑的態度をとっていたため、ということですね。理想だけでは通用しない、政治の難しさがよくわかります。