■現代社会の根本原理R
- 作者: 真木悠介,大澤真幸
- 出版社/メーカー: 朝日出版社
- 発売日: 2014/09/30
- メディア: 単行本
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真木悠介『現代社会の存立構造』/大澤真幸『現代社会の存立構造』を読む
朝日出版社
大澤真幸様、ご恵存賜り、ありがとうございました。
社会学の古典として読み継がれている、真木悠介『現代社会の存立構造』に、大澤先生の解説が加えられた本です。
原初的な関係Rというものがまず存在して、それが主体の内面意識Sと対象Oを同時に生み出し、SとOのあいだに疎外関係を生じさせる。これが現代社会の存立構造の根本とされます。
では関係Rの正体とは、なんでしょう。
R,S,Oの関係は、キリスト教の三位一体説とパラレルに考えられる、というのが大澤説です。
R(私は「原-関係」と呼んでいます)とは、イエス・キリストのこと。
S(主体)とは聖霊のこと。「霊」とは神から人間に与えられているもので、信者たちは、聖霊を通じて、神とのつながりを実感することができます。
O(対象)とは「神」のこと。聖霊は信者たちの共同体で、その共同性は、Oを前提として成り立ちます。共同性をある面に投射したものが、O=対象=神です。
みすぼらしい姿でパレスチナを歩き回っていたキリストによって、人々は聖霊Sと人格神Oを分化させていく。
こう考えると、R,S,Oの三つは、論理的には同時の三位一体ということになりますね。物語的にはキリストが先で、SとOを生み出すということになりますが。
では、キリストに代わる、どのようなRが存在すれば、私たちは「疎外された主体性」としてのSから、また物象化された対象性としてのOから、それぞれ解放されるのでしょうか。主体が疎外されずに、無媒介に他者と交流することを可能にするような、別のRを想定しなければならないのか。それともR,S,Oの三つを三位一体説で解釈すれば、SとOのあいだの疎外関係は克服できるのか。それが問題になりますね。