■テレビの影響力は衰えていない

間メディア社会の〈ジャーナリズム〉

間メディア社会の〈ジャーナリズム〉

遠藤薫編著『間メディア社会の〈ジャーナリズム〉』東京電機大学出版局

遠藤薫様、ご恵存賜りありがとうございました。

 独自のアンケート調査の結果は、とても興味深いです。
 東日本大震災からの復興に向けた総合的社会調査のなかに、「今回の震災をきっかけとして、より明らかになった日本社会の問題があったとすれば、それは次のうちどのような問題でしょうか。」という問いがあります。
 答えの一位は「政治的リーダーシップの欠如」78.1%、二位は「エネルギー政策の問題」68.2%、そして第五位に「マスメディアの質の低さ」25.6%があります。
 マスメディアに対する不信度は、学歴別で、中卒が15.8%、高卒・短大卒が22.5%、大卒・大学院卒が39.9%と、学歴とともに上がっています。
 選挙に関する情報源のアンケート結果(2009, 2010, 2012年に行われた選挙)について、意外に思ったのは、次の点です。

 (1)テレビの影響力は、世代に関係なく、あまり衰えていない。
 (2)新聞の影響力は、若い世代においてだいぶ影響力を失っているが、2012年の衆院選の事後調査では、20代の若い世代でも、他の世代と同じくらい新聞を情報源としていた。
 (3)インターネットの影響力は、世代格差がほとんど見られない。高齢者も多く利用している。

 こうみると、メディアの影響力がしだいにテレビや新聞からインターネットへ移行していくという傾向は、政治に関して言えば、あまりみられないということですね。意外でした。高齢者もインターネットを使うようになっているのですね。人々は以前と比べて、多様な情報源から、情報をバランスよく得ているのかもしれません。