■政府が好戦的民意を作り出す可能性


メディアと自民党 (角川新書)

メディアと自民党 (角川新書)

西田亮介『メディアと自民党』角川新書

西田亮介さま、ご恵存賜り、ありがとうございました。

 もし電通自民党が密接な協力関係を築いたら、自民党は、マスメディアの権力を利用できるようになる。すると政治は、世論によって審判を受けるのではなく、反対に、政治が世論を操作することができるようになる。
 そうなると国家は、プロパガンダでもって好戦的な民意を形成していくことができる。そうした危険な可能性があるので、私たちは政府(与党)とメディアの関係を、しっかりと観察していかなければなりません。
 でも本書での取材では、ある企業の担当者は、電通自民党が、「フタをあけてみれば、ぜんぜんつながらなかった」と述べているのですね。
 ただこの人の発言から、一般的な結論を引き出すことはできないでしょう。自民党と広告代理店は、あからさまな提携はできないでしょうが、私たちはもっと疑っていいのではないかと思いました。ある意味で疑うことが、世論操作に免疫をつけるための、市民としての美徳なのですから。