■経済学はベルマークの意義を理解できないのか
- 作者: 塚崎公義
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2015/11/19
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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塚崎公義『なんだ、そうなのか!経済入門』日本経済新聞社
塚崎公義さま、ご恵存賜り、ありがとうございました。
小学校で「ベルマーク」を集める習慣は、経済学的には理解できない、というのですね。
子どもたちが集めたベルマークを保護者が分別して台紙に貼って集計する。するとベルマークの会社が学校に商品をくれるようですが、そうであれば、「保護者がコンビニでアルバイトをして、アルバイト代を学校に納める」ほうが、はるかに効率的であると。ベルマークを集めるというのは非効率的で、経済的ではないのだと。
「もっとも、ベルマークには小学生に「コツコツ作業する」ことの大切さを教えるという教育効果があるのかもしれませんが……。」
これは別の意味で教訓的です。
思うに経済学というのは、小学生がコツコツ作業するという能力を身につけることが、どこまで子供たちの「人的資本」を形成するのか、そしてまた、それが将来の経済発展に貢献するようになるのかについて、理解を示さない学問なのでしょう。
言い換えれば、経済学というのは、はっきりと貨幣計算できる短期的な目先の利益しか考えず、あいまいで長期的な利益については、たとえそれが経済的な利益であっても、考慮に入れない学問であるとの印象をもちました。
こういう経済学の態度を批判するところに、経済思想の意義があります。