■丸山眞男の憲法9条観

危機に対峙する思考

危機に対峙する思考

  • 作者: 平子友長,橋本直人,佐山圭司,鈴木宗徳,景井充,筒井淳也,磯直樹,前田泰樹,大河内泰樹,村田憲郎,南孝典,菊谷和宏,杉本隆司,田中秀生,上杉敬子,小谷英生,中村美智太郎,高安啓介,白井亜希子,福島知己,荒川敏彦,佐々木隆治,阿部里加,水野邦彦,名和賢美,赤石憲昭
  • 出版社/メーカー: 梓出版社
  • 発売日: 2016/01/25
  • メディア: 単行本
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平子友長ほか編『危機に対峙する思考』梓出版社

平子友長さま、執筆者の皆さま、ご恵存賜り、ありがとうございました。

 丸山眞男は、憲法9条について、次のように述べています。政府は、憲法を遵守する義務を負っている。だから防衛力を漸減するように、すすんで国際的な全面軍縮への積極的な努力を続けなければならない、と。
 さらに丸山は、憲法前文には、積極的平和主義の主張が展開されていると指摘します。日本が国際社会を律するような普遍的な理念を現実化するために、例えば平和構想を示したり、国際紛争の平和的な解決のための具体策を講じたりするという、積極的な行動が必要だ、としています。
 問題は複雑ですが、この丸山の見解からいえることは、もし日本人が積極的な平和主義の構想をしっかりと提起できないときは、その程度に応じて、憲法9条を遵守するための要件を欠いてしまう、ということにならないでしょうか。
 あるいは「積極的平和」のための行動が必要であるということであれば、例えば、国連平和維持軍への参加、集団安全保障の可能性、あるいは世界政府軍の設立(別の面から言えば軍隊と国家の分離)などの提案をすることは、ありうる方向性でしょう。しかしこうした場合には、憲法9条の改正や解釈改憲が必要になるでしょう。