■リカードの方法論はリアリズム
- 作者: 奥山忠信,亀崎澄夫,安田均,金井辰郎,堀川哲,佐々木憲介,水田健,柳沢哲哉,舩木惠子,阿部秀二郎,佐藤公俊,本吉祥子,栗田康之,岡本哲史,星野富一,石橋貞男,芳賀健一,ブライアン・K・マクリーン,仙台経済学研究会
- 出版社/メーカー: 社会評論社
- 発売日: 2016/04/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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仙台経済学研究会編『経済学の座標軸 馬渡尚憲先生追悼論文集』社会評論社
佐々木憲介さま、他の執筆者の皆さま、ご恵存賜り、ありがとうございました。
馬渡尚憲先生の研究業績をどのように評価するのかについて、皆様にいろいろと伺ってみたいと思いました。
リカードの方法意識について。1820年5月4日付のマルサスへの手紙のなかで、リカードは主著『経済学原理』が、「ストロング・ケース」を想定して論じたものだ、と述べているのですね。ある結果の原因が何かを明らかにする際に、その原因が、他の原因によって乱されないような想定をする。これは実際には、ある原因を「誇張」して、他の要因を無視する(作用しなかったものともなす)という操作を含んでいます。ただこの方法的な操作は、「他の条件が一定であれば、仮想的にこうなる」といった論理ではなく、実際に起きている現実の因果連関を説明するために、具体的なストロング・ケースに注目するということです。
するとこれは、理念型を構築するという「構築的」な発想ではなく、あくまでも誇張する(デフォルメする)という点で、リアリズムの範囲内にある認識方法だということになるでしょう。