■「論語」解釈の誤解について

論語の力

論語の力

緑川浩司『論語の力』財界21

松岡幹夫さま、ご恵存賜り、ありがとうございました。

 対談集になっています。
 「死とは何でしょうか」という門人の問いに対して、孔子は「未だ生を知らず、いずくんぞ死を知らん」と答えました。
 この一節は有名で、一般には次のように訳されます。「生のことが分からないのに、死のことが分かるはずない」と。この訳文から、私たちは孔子が、「死については考えない」「死について考えても無意味」と言っているのではないか、と解釈してきました。
 しかしこうした一般に広まっている解釈は誤解であり、孔子は霊魂や死について、強烈な関心を持っていた、というのが加地氏の解釈なのですね。
 加地訳では次のようになります。
 「もしまだ在世の親(生)の意味・意義についてちゃんと理解できないでいるならば、どうして御霊(みたま、死)の意味・意義についてちゃんと理解することができようか」と。
 孔子は、死について、これを生の意義との関連で理解すべきである、と考えていたようですね。