■環境にやさしい人はカロリーオーバーしない


ヤバすぎる経済学

ヤバすぎる経済学

ティーヴン・レヴィット/スティーヴン・ダブナー『ヤバすぎる経済学』東洋経済新報社

 アメリカの環境保護派、クリス・グードルは、著書『炭素を抑えて暮らすには』のなかで、次のようなことを書いている。
 「グードル氏の計算では、1.5マイル歩いて消費したカロリーをコップ一杯の牛乳で補充すると、その牛乳にかかわる温暖ガス(農場から排出されるメタンと配達トラックが排出する炭素化合物)の排出量は、歩いたのと同じ距離を典型的な車で走って排出される温暖化ガスの量と、だいたい同じだ。二人で同じ距離を移動するなら、車で行くほうが間違いなく環境にやさしい。」
 (以上は、ジョン・ティアニーが『ニューヨークタイムズ』紙でやっているブログに載せた文章)
 この計算は説得的でしょうか。
 車で移動しても、その前後の一時間で、コップ一杯の牛乳を飲むことはありますよね。人は水分を補給して生きているわけですからね。牛乳ではなくて、マイボトルに水を入れて水を飲めば、やはり車で移動するよりも歩いて移動する方が、環境にやさしいのではないでしょうか。
 結局、環境にやさしい生き方というものが、一日当たり、どれだけのカロリーを摂取すべきか、という問題にいきつくのであれば、カロリーオーバーは環境にやさしい生き方ではない、ということになりますね。
 そういう問題なのでしょうか。むしろ本質は車の排気ガスの問題ではないのでしょうか。