■日中の労働交換比率

これからのマルクス経済学入門 (筑摩選書)

これからのマルクス経済学入門 (筑摩選書)

松尾匡/橋本貴彦『これからのマルクス経済学入門』筑摩書房

松尾匡様、橋本貴彦様、ご恵存賜りありがとうございました。

 1995年から2007年にかけて、中国と日本のあいだの「労働交換比率」がどのように推移したのかを示すグラフは興味深いです。
 同じ1万ドルを用いて、輸出財を交換するとしましょう。例えば、日本で1万ドルのハイテク製品を生産して中国に輸出し、逆に中国からは、1万ドルの農作物を日本に輸入したとしましょう。
 このとき、日本から中国に輸出する製品に対して、日本人が費やした労働時間が1時間であるとすると、中国から日本に輸出する製品に対して中国人が費やした労働時間は、1995年の段階で37.14時間、2007年の段階で8.29時間、であったというわけですね。
 マルクスの立場からすれば、これは日本人が中国人を搾取した、ということになるでしょうか。
 もう一つの興味深いデータは、アメリカと日本において、100万ドルの純生産物を生産する際に、どの程度の二酸化炭素(CO2)を排出しているのか、です。2007年の段階で、アメリカの場合は、電気・ガス・水道部門において、100万ドルの純生産物に対して、9,129トンの二酸化炭素排出量です(これは直接・間接の両方を含めた値です)。これに対して日本の場合は、3,848トン。半分以下だったというわけですね。この比較は、ぜひ他の諸国のデータも含めて、追跡していただきたいです。